「女もすなるレーザー脱毛といふものを男もしてみようと思う」と紀貫之の『土佐日記』をまねてみました(と言ってもわからないか)。
いや、でも本当に、レーザー脱毛を自分がするなんて思いもしませんでした。
だって、男性用のエステの広告もたまには見かけますけど、ほとんど女性用じゃないですか。
男性用エステの広告に載っているモデルの写真とかみると、いわゆるイケメンで、仕事もバリバリと優秀な人の代表格みたいで、自分には関係ないかと思っていました(そういうと、女性用のエステもほとんどの女性には関係なくなってしまうか)。
だいたい、男の人は女の人より毛深いのがふつうなのですから、脱毛するなんて、人類の歴史に反逆することだー! なんて昔は思っていました。

以前、DVDで観た『ワン・フロム・ザ・ハート』って古い(30年前くらいの)映画(正直、おもしろくなかったなぁ)のなかで、倦怠期のカップルがけんかしているシーンがありました。
男のほうが、女性に向かって「むかしは、脚のむだ毛の処理をしていたのに、いまは伸ばし放題だ!」というようなことを言うのです。
売り言葉に買い言葉みたいな感じですが、ぼくはその時、「女性って大変だな~。男性は楽でいいなぁ」などと思っていたのです。
でも、その男のセリフと似たようなことを、長年付き合っている彼女に言われてしまったのです。
些細なことで、口げんかになったのですが、彼女が「毛がもじゃもじゃして暑苦しいのよ! なんとかしなさいよ!」
その後、仲直りはしたのですが、いろいろ話し合った結果、ぼくが「レーザー脱毛」することになりました。
お金もばかにならないので、まずは、腕(ヒジから手首まで)をレーザー脱毛することにしました。
彼女の好みに合わせて、どれくらい毛を残しておくか相談しながら、脱毛を進めていきました。
こんなに脱毛や美容のことを彼女と話すことができるなんて、共通の話題が増えて、幸せも増えた感じです。

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レーザー脱毛を、この前はじめて受けに行きました。
そのきっかけは、去年の夏、うちの家族と親戚の家族と一緒に海に行った時のことです。
その時、親戚の女の子(たしか、7歳だったか)に言われたひと言がとてもショックでした。
「おじちゃん、もじゃもじゃしていて気持ち悪~い」
「おじちゃん」もショックでしたが、「もじゃもじゃ」「気持ち悪~い」は、心臓にナイフをグサリと突き刺されたような感じでした。
あとで、妻に言われました。「子どもって、正直ね。でも、その時のあなたの顔はひきつっていたわよ。脱毛でもしてみたら。ハハ」
「……」
その後、一週間ほどはとても落ち込みました。
そりゃ、自分が毛深いのは知っていました。見れば分かりますよ。
でも、妻にも言われたことはないし……。

あとで、会社の女の子(セクハラかな)にちょっと聞いてみました。
「毛深い男の人って、君たちどう思う?」
「胸毛もじゃもじゃって、ちょっと怖いです」
「満員電車で、毛深い腕が触れるとぞっとしちゃいます」
「汗かいた毛深い男の人って、男くさいんじゃなくて、単にくさいだけよね~」
「毛深い人を全身レーザー脱毛しちゃいたいよね~」
と、散々でした。
毛深いとまるで人格がないような言われ方でした。傷ついた心臓に、塩をすりこまれたような痛みを感じました。
それからは、ほかの人が、ぼくの腕やアゴ、頬を見て、毛深いと思っているのじゃないかと、すごく気になってしまって……。
そんなある日、この前女の子の言った「レーザー脱毛」って言う言葉が気になりだし、ネットで調べてみました。気になってしょうがないので、家からちょっと離れた所にあるクリニックにカウンセリングを受けに行ってみました。
これが、ぼくがレーザー脱毛を受けるにいたった理由です。